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【国際交流基金】オンライン日本映画祭 2022(JAPANESE FILM FESTIVAL ONLINE 2022)開催のお知らせ(西川監督インタビュー・記者会見レポート)



国際交流基金では、2月14日~2月27日まで、オンライン日本映画祭 2022(JAPANESE FILM FESTIVAL ONLINE 2022)を開催します。


MEXITOWN編集部はそれに先立ち、1月18日(火)にメキシコシティのシネテカ・ナシオナルで行われた記者会見にオンラインで参加しました。映画『すばらしき世界』

の西川美和監督もオンラインで日本から出席した記者会見時の様子と日本映画祭のプログラムのご案内を本記事でご紹介します。

 

<目次>

 

JFF(Japan Film Festival)とは?


JFが2016年に「JFFアジア・パシフィック・ゲートウェイ構想」事業としてASEAN 10か国およびオーストラリアを対象に発足した日本映画祭「JFF(Japanese Film Festival)」。2017年度には中国とインド、2018年度にはロシアと対象国と規模を拡大し、2019年度は12か国56都市でリアルな映画祭を実施し、年間17万人以上を動員。


2020年度は、リアルとオンラインの両軸で日本映画を届け、はじめての開催となった「オンライン日本映画祭2020-2021」では世界20か国から計22万回以上の視聴を記録した。



■ 視聴者へ向けたメッセージ

「コロナ禍の今、世界中で多くの人々が苦しみや悲しみ、孤独と戦っています。このような状況の中、JFFでは、日本映画が少しでも皆さんの気持ちを癒せるよう、さまざまな作品の上映や配信を予定しています。今回、オンライン日本映画祭2022では最新作からクラシックまで20作品を選定しました。四季折々の景観、見た目にも美しい色とりどりの日本食、伝統から現代へ変わりゆく社会、時空を越えた創造の世界など、さまざまな日本の世界を堪能してもらうことで、視聴者の皆さんの気持ちが少しでも晴れ、一人でも多くの人が、またいつの日か日本を訪れるという夢を持つきっかけとなれば嬉しく思います。」


(許斐雅文/JFFプロデューサー)



今年はオンラインでの開催となりますが、その中で上映される映画「すばらしき世界」の西川美和監督へのインタビューが1月18日行われました。オンラインとメキシコシティのシネテカ・ナシオナルのハイブリッド形式で行われた記者会見には、メキシコだけでなくアルゼンチン、ベネズエラ、エクアドル、ペルーからの報道関係者も出席していました。

 

記者会見レポート:映画「すばらしき世界」西川美和監督インタビュー



西川監督ご挨拶:メキシコの皆様、こんにちは。日本は現在午前11時少し前です。メキシコの記者の皆様、オンラインでご参加されている中南米の記者の皆様、本日はありがとうございます。皆様の質問をとても楽しみにしてきました。


ー今回の「すばらしき世界」は小説家・佐木隆三氏が約30年前に発表した「身分帳」の映画化作品となります。なぜ映画化しようと思ったのでしょうか。また、小説を脚本にすることの難しさも教えてください。


西川監督:刑務所に長く服役していた男性が、社会に出てきて社会復帰を目指す。道を踏み外した人間が社会復帰をするのがいかに大変か。その中で起こるトラブルを面白おかしくとらえていきながらも社会の歪みに気付いていくーそんなストーリーが大変珍しいと思い、映画化しました。


脚本にすることの難しさでいえば、佐木隆三氏の原作が書かれたのは30年前です。30年前と比べて、社会を取り巻く制度や受刑者の制度は変わりました。私は実際に日本のやくざから足を洗った人、刑務所から出所した人などにお話しをお聞きして、それを現代の場面に置き換えてリアル感を出すための工夫をしました。


ー小説を映画にすることの難しさはありますか。


西川監督:小説はとても分厚く、深いところまで詳細が描かれています。それを2時間の映画で全て表現することは不可能で、小説の内容の取捨選択に悩みました。映画祭を通じて多くの人に伝わり、多くの方の感情に訴えかけるストーリー作りを心掛けました。最も、佐木氏の小説にはない部分をストーリー化することが一番苦労したところかもしれませんね。


私は小説も描いていますが、映画と小説はどちらも互いに嫉妬し合い、それぞれにしかない表現を探っていくことが最良のことだと考えています。映画は言葉では表現しえない感動が描けます。小説の執筆は映画を長くやっているときはいい息抜きにもなりますが、その反面1人で描く難しさに時々直面します。そうなると、生きた人間の動きに力を借りながら描く映画も懐かしくなります。


小説を書いていると、映画作りがあってよかったなと思っているので、私は両方の良さを味わうことが出来ています。


ー現代の日本映画界について、西川監督のご意見をお願いします。


西川監督:日本映画は制作予算が非常に少ないため、韓国や欧米の映画界に差を付けられていると思います。日本の映画産業全体として、多くのお客さんが集客できる映画が国内で上映されています。若い映画監督や作家を映画界で育てていこうというお金の分配がなってない。映画というものがもっと豊かなものであることを、下の世代にも伝えて映画の文化を育んでいきたいです。


ー影響を受けた監督は?


西川監督:あえていうならば、佐木隆三氏の描いた小説「復讐するは我にあり」(1979年)を映画化した今村昌平監督をとても尊敬しています。人間を骨の髄まで表現するというスタイルに、若いころから影響を受けました。


海外の監督にも影響を受けています。「評決」などを撮ったシドニー・ルメット監督や、メキシコのアルフォンソ・キュアロン監督。表現の豊かさにはいつも影響され、惹かれています。中南米の映画監督にも注目しており、アルゼンチンのガストン・ドゥプラット監督の「笑う故郷」(2016年)などを見た時は大変なショックをうけました。いつかお目にかかって話を聞いてみたいです。


私自身、実はメキシコに行ったことがないので、現地の方からのお話を直接聞けたら良かったので、今回メキシコに行けず残念です。


メキシコは若い人の人口が多いと聞きました。映画人口・映画ファンを若い人が非常に関心をよせていることが日本と逆で、若い世代の方がどういう未来を描いているのかを聞いてみたかったです。


今回の作品に関しては 日本の受刑者をテーマにし、元犯罪者が社会復帰していく様子に迫っていますが、各国によって受刑者の処遇・犯罪者の復帰プログラムは異なります。メキシコと日本は大きく違うと思うので、その辺りも聞いてみたかったです。 


ー実際日本で上映した後の反響は?


西川監督:主人公が抱いている孤立感や先の見えなさは、案外日本の社会に生きている人の一般の方の本音に通じるものがあり、共感した方が多かったです。COVID19の環境下、人とのつながりが希薄になったり、職業が不安定になったりしたことが影響し、特殊な主人公に対しての観客からの同情が深かったのでは、と感じています。


また一方で、主人公を取り巻く人達が手助けている場面に対して、世間はこんなに甘くないじゃないかというご意見もありました。その反面、そうはいってもそういうつながりは大事と感じる人もいました。日本人が忘れかけている、さりげなく人を支えたり、心配したりされたりという経験がもう一度あってもいいじゃないかと感じた観客も多かったことが救いでした。


ー最後に、映画祭へのメッセージをお願いします。


西川監督:本日は非常に短い時間でしたが、現地にお越しいただいた記者の方の質問を受けることが出来てよかったです。こういう状況下で日本国内以外でこの作品の上映に立ち会えたことを、非常に光栄に思います。映画作りには4年くらいの準備期間が必要になります。また何か新しいものが作れたら、その時は是非中南米の国々を訪れたいです。

 

オンライン日本映画祭 2022 上映スケジュール


日本映画祭の開催概要と、上映スケジュールのご案内になります。


事業名称: オンライン日本映画祭 2022(JAPANESE FILM FESTIVAL ONLINE 2022)

主  催: 国際交流基金(JF)

共  催: 日本国大使館

実施期間: 2022年2月14日 (金)〜 2月27日(木)

配信作品: 全20作品

配信媒体: 日本映画発信ウェブサイト「JFF+(ジェイエフエフ・プラス)」(運営:国際交流基金)


視 聴 料:  無料(視聴に際してはユーザー登録が必要です。なお、日本からの視聴はできません)


開催 国: 韓国、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、インド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドル、ペルー、イタリア、スペイン、ドイツ、ハンガリー、エジプト(全25か国)


字幕言語: 英語、韓国語、インドネシア語、クメール語、タイ語、ベトナム語、マレー語、ミャンマー語、スペイン語(南米)、ポルトガル語、イタリア語、スペイン語(スペイン)、ドイツ語、ハンガリー語、アラビア語(最大15言語)



※日程・プログラムの内容は予告なく変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。

※国によって一部作品は配信対象外となります。


そんな日本映画祭2022のスケジュールは以下のURLよりご確認いただけます。


日本語の字幕はないですが、スペイン語字幕で日本映画を鑑賞し、この機会に日本映画の良さを見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

 

国際交流基金 メキシコ日本文化センター








所在地:Avenida Ejercito Nacional #418 Int. 207, Colonia Polanco V sección C.P. 11560, CDMX, México

お問い合わせ先:

Tel:+52 (55) 5254 8506


メキシコ日本文化センター図書館

開館時間:月~金 10:00 ~ 18:00

 ※書籍の寄付のご案内:本帰国などで不要になった書籍の寄付も受け付けております。

 ※7月7日現在、完全予約制で受付しています。詳しくは biblioteca@fjmex.org にお問い合わせ下さい


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