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現場に足を運び続けた4年半: 板垣総領事、バヒオ地域での多彩な活動を振り返る(特別インタビュー)

板垣在レオン日本国総領事は、2024年10月、約4年半の任期を終えます。板垣総領事はCOVID-19のパンデミックの中でも日系企業と地域社会を支え、その後の日墨友好の強化に尽力しました。自ら現場に足を運び、在留邦人の声を聴き続けてきたメキシコ・バヒオ地域での4年半を振り返ります。

 

―2020年からの着任以来、今日まで大変お疲れ様でした。着任時はCOVID-19のパンデミックが始まった頃でした。


板垣総領事:  2020年4月、COVID-19が世界中で猛威を振るう中での着任でした。着任早々、パンデミックのため活動が制約される状況下で、どのように総領事館としての役割を果たしていくべきか自問自答した時期もありました。そのような状況の下ではありましたが、まずは日本人コミュニティの皆様が少しでも安心できるよう、感染状況やワクチン接種に関する正確な情報提供を心掛けました。誤情報や噂が飛び交っていたので、各州保健局と関係を構築し、正確な情報を得て提供したり、州立病院でのCOVID-19患者用病床の提供案内などを行い一定の安心感を伝えることができたと思います。さらに、州政府の要請に応えて、日系企業のいくつかはその工場施設を企業の従業員だけではなく周辺地域住民へのワクチン接種会場として提供し、日系企業と州政府が協力して行ったことは企業の新たな取り組みの一つとして印象に残っています。


また、着任以来、総領事館の活動の柱として「領事サービスの拡充」「日系企業支援」「治安情報の提供」「各州と日本の友好関係の強化」を掲げ、COVID-19という制約がある中でも、できる限り、日系企業や州や市、経済団体、民間団体と直接対話を重ねる努力をしました。総領事館の自分の席に座っているだけでは日系企業の現場が抱える課題やニーズを把握することは難しいと思い、日本企業支援のため、4年半で70社以上の日系企業を訪問したと思います。治安対策においては、日系企業・メキシコ日本商工会議所と州治安当局との情報交換、意見交換、対策強化を求める場をさらに強化しました。さらに貨物被害対策のために、新しい試みとして、国家警備隊との会合も行い、そのような被害の低減のために努力しました。



―総領事館の管轄6州にも頻繁に足を運ばれました。


板垣総領事:  COVID-19が徐々に収束に向かう中で、領事サービスも再開することができました。出張サービスを通じて、アグアスカリエンテス州、サン・ルイス・ポトシ州、ハリスコ州、ケレタロ州でも日本人コミュニティへのサポートを拡充しました。サカテカス州や居住するグアナファト州を除く管轄4州それぞれの州には30回以上は出張しました。各州知事、州経済開発局長、州治安局長、州検察庁検事長との緊密な関係構築を進めて24時間の連絡ができる環境を造りました。


また、メキシコ日本商工会議所(カマラ)グアナファト支部、ケレタロ支部の例会を通じて、会員企業のお役に立てること(例えば、領事サービスの案内、環境税の導入に関する会合、運転免許証入手に関する手続き簡素化、治安情報提供など)の提供に努めました。そして、その延長で、メキシコ日本商工会議所の各州における例会やセミナーを通じて、各州政府の要人との直接対話の機会を企業の皆様に提供しました。特に、治安対策や人材確保に関する課題については、現場に足を運んで関係当局と話し合い解決策を模索してきました。

バヒオ地域は、親日的でプロビジネスの立場を取る州政府が存在します。昨年や本年においてはアグアスカリエンテス州、グアナファト州、サン・ルイス・ポトシ州の知事の訪日も実現し、各州と日本企業のビジネス関係の強化や日本との友好関係強化が確認されたことも嬉しい成果です。


加えて、総領事公邸でのネットワーキングイベント(ITMや日系人、FOODEXをテーマとして)や2022年9月に開催した日本総合発信イベント“Mas Japón en Guanajuato”などを通じて、グアナファト州の企業と日本の企業を繋ぐ取り組みも行いました。“Mas Japón en Guanajuato”は私が着任して以来、初めて企画した大型総合イベントで「経済(ビジネス)」、「食」及び「文化」を柱とし、グアナファト州政府の多大な協力を得つつ、多くの日本企業、グアナファト企業及び団体、レストラン、アーティストの展示、参加を得て大成功に終了しました。来て頂いた方々から「次の“Mas Japón en Guanajuato”はいつ開催するのか?」と聞かれるぐらい好評であったのは嬉しかったですね。



これらの過程で、在メキシコ日本国大使館、メキシコ日本商工会議所、日系企業、メキシコ企業団体、日本政府関係機関(JICA、JETRO、JIBC、JNTO、国際交流基金)、日墨協会などの皆様には大変お世話になりました。


―日系人ネットワークも横の繋がりが強化されました。


板垣総領事:  バヒオ地域の日系社会とのつながりは非常に重要なものであり印象深いものと感じています。特に、ベアトリス・ヤマモトさんとの出会いがそのきっかけとなりました。残念ながら彼女は2021年に2月お亡くなりになりましたが、彼女との交流を通じて、日系人コミュニティの重要性を改めて感じました。その後も、多くの日系人のご家庭を訪問し、日系人同士の横のつながりを強化するためのヒアリングやイベントを開催するなどしました。これらの積み重ねによりバヒオ地域での日系人同士の横のつながりが強化されたと思っています。



2022年にサン・ルイス・ポトシ州でメキシコ全国日系人大会(CONANI)とEXPO JAPONが開催され、本年はヌエボ・レオン州でCONANIが開催され「拡大日系社会」を含む「モンテレイ宣言」が採択されました。また、そこで2026年にグアナファト州・レオン市でのCONANI開催が決まりました。グアナファト州らしい素晴らしいイベントとなることを期待しています。


―広島県とグアナファト州の友好提携下で、多くのイベントが開催されました。


板垣総領事:  広島県とグアナファト州の友好提携は2014年に始まり、本年で10周年を迎えました。文化、スポーツ、ビジネス、青少年交流、医療など、さまざまな分野で交流が広がり、非常に順調に発展しています。本年は友好提携の締結から10周年として、3月にはディエゴ・シヌエ・ロドリゲス・バジェホ グアナファト州知事(当時)が広島県を訪問し「友好提携宣言」に署名し、10月の今週、湯﨑広島県知事がグアナファト州を訪問され、リビア・デニス・ガルシア・ムニョス・レド州知事と友好の意義の確認、交流の強化について意見交換がされたところです。湯﨑県知事の今回の訪問は、グアナファト州・広島県の絆をさらに強固にし、今後のさらなる交流発展に向けた重要なステップとなると確信しています。


私自身、広島県とグアナファト州の友好提携の下での交流や知事の訪問に立ち会えたことは大変光栄であり、広島県とグアナファト州の関係が今後もますます発展していくことを心から期待しています。



―今後の日本人コミュニティへの期待について教えてください。


板垣総領事:  バヒオ地域の人々は非常に親しみやすく、日本人社会との協力関係も良好です。共通点としては、真摯で働き者、そしてホスピタリティに溢れた性格が挙げられます。特に日本人とバヒオ地域の方々とは、「相互信頼」が存在し、経済や文化の発展に向けた共通の目標を共有していると感じています。


日本人コミュニティ、日系企業コミュニティ、日系人コミュニティが、地元のメキシコ人や企業、州政府とも協力し、ウィンウィンの関係を目指してバヒオ地域全体の発展に向けた協働作業が続いていくことを期待しています。日本人コミュニティの皆さんが現地の文化や社会に積極的に関わりながら、相互発展を目指していく姿勢は、非常に重要と考えます。



―最後に、MEXITOWNの読者にメッセージをお願いします。


板垣総領事:  皆様、今後も是非とも総領事館を積極的にご活用ください。次期総領事も同様に、皆様の声に耳を傾け、バヒオ地域の発展に向けて尽力していくことと思います。私も遠くからではありますが、皆様とバヒオ地域の発展を心から応援しています。


―板垣総領事、4年半お疲れ様でした!!!

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