こんにちは。昨年3月にグアナファト州・サラマンカ市にあるマツダ・モトール・マヌファクトゥリング・デ・メヒコ S.A. de C.V.(Mazda de Mexico Vehicle Operation)(以下、マツダメキシコ)の岩下社長へのインタビューで、マツダのメキシコでの活躍を知ることが出来たMEXITOWNと読者の皆様。その後、COVID19のパンデミックが落ち着き、物価高やニアショアリングなどが話題となっている中で、マツダメキシコにとっては2023年上半期どんな期間だったのか、そして下半期はどのような戦略をもつのか。
今回は、深井・執行副社長(オペレーション部門)(以下、深井EVP)、高村・執行副社長(アドミニストレーション部門)(以下、高村EVP)のお2人にマツダメキシコの戦略などをお聞きするとともに、マツダメキシコのお隣にあるイラプアト市の魅力まで語っていただきました。
<目次>
マツダメキシコの10年目に向けて:上半期の成果と地域支援
持続可能な成長、社会貢献とスポーツ交流
コンパクトで立地条件に優れているイラプアト市
週末のアクティビティも豊富で、生活しやすい!
クルマへの情熱と地域への貢献
マツダメキシコの10年目に向けて:上半期の成果と地域支援
MEXITOWN:本日は宜しくお願い致します。まずは早速ですが、 2023年上半期の振り返りから、深井EVP、御社の生産体制とオペレーション全体について教えていただけますか?
深井EVP: 2023年上半期は、弊社のCX-30が主要国であるアメリカとメキシコのお客様から好評をいただいた半年間でした。上半期は10万台以上の車を生産し、特に今年3月だけで2万台を生産したことは、10年の歴史の中でも最高記録となりました。
上海のロックダウンやCOVID19の影響など非常に厳しい状況もありまして、お客様やお取引先様には迷惑をかけてしまいました。しかし、一台でも多くの車をつくる為に、1つ1つの課題を解決し、実行できたことにお取引様はじめ、関係者の皆様には非常に感謝しています。
MEXITOWN: 続いて上半期の地域・社会貢献活動について、高村EVP、お話しいただけますか?
高村EVP:今年の3~4月頃から地域・社会貢献活動が活発化し、2023年を「ヒトとヒトとの繋がりの再始動の年」と受け止めています。
また、来年マツダメキシコは操業開始から10周年を迎えることから、地域との信頼関係を一層深めていきたいと思っています。毎年1月6日の三賢者の日(Dia de los Reyes Magos)ではサラマンカ市におもちゃを寄贈し、今年は3,000個を配布しました。そのうち約50%が弊社従業員からの寄贈で、従業員の中でも地域への貢献意識が高まっています。
駅伝大会も8年間開催しており、あいにく今年も対面での開催が叶わずオンラインでの開催となりましたが、3,000人以上の従業員、サプライヤー、販売店などが参加し、またオンライン開催という利点も活かし世界中からのエントリーも頂きました。メキシコでは馴染みがなかったと聞きますが、この8年間でタスキを受け渡し全員で完走するという駅伝がメキシコでも受け入れられ、多くの方々に参加頂いており、来年こそは対面で開催したいと思います。
更にメキシコ日本商工会議所(以下カマラ)の活動もこれまではオンライン中心でしたが、徐々に対面開催ができ、4か月ごとに開催していますグアナファト支部例会でも多くの方に対面参加頂き、日系企業間のつながり・接点がより増えたと実感しています。
持続可能な成長、社会貢献とスポーツ交流
MEXITOWN: 次に、下半期以降の事業戦略についてお話しいただけますか。昨今話題となっているニアショアリング、電気自動車、物価高への影響などがあるかと思います。
深井EVP: 上半期の業績は好調でしたが、下半期も販売は好調に続く見通しですので、生産も上半期と同様のレベルを維持したいと考えています。
電気自動車
電気自動車への移行は主要戦略としており、2030年までを電動化への移行期間と位置づけています。電気自動車はグローバルで販売する中で2030年には25~40%の販売台数を占める予定です。電動化は販売地域の電源事情を考慮する必要がありますので、代替え燃料を使用する車に関しても計画をしていきたいと考えています。
ニアショアリング
また、メキシコはアメリカに隣接する国として非常に大きな可能性を占めている。ニアショアリングは今後メキシコが発展していく原動力となると思います。マツダが10年前にメキシコに工場を建設したのもニアショアリングと同じ考え方であり、弊社は米国やメキシコのお客様に車を届け続けます。
物価高の影響
物価高の影響ですが、メキシコはインフレ率の急上昇もあり、これは製造業にも大きなインパクトを与えています。弊社の優秀なメキシコの人材で、継続的に生産の効率を改善するなどして物価高に対応し、メキシコにおけるモノづくりを支えていきたいです。そしてメキシコの経済成長にも大きな影響を与えることを認識し、しっかりと弊社の義務を果たしていきます。
MEXITOWN: 次に地域・社会貢献活動の下半期の展望を、高村EVPお願いします。
高村EVP:来年の1月にはマツダメキシコは操業開始10周年を迎えます。これまでの10年間、お取引先様、地域の皆様に支えられたことによる感謝、そしてナショナルメンバーの勤勉さと能力の高さにより日本で生産する車と変わらないクオリティの車を生産できるまでに成長してきたことに対する頼もしさを感じています。
広島・グアナファトの友好提携10周年に向けて
また、来年グアナファト州と広島県は友好都市提携から10周年を迎えます。今年6月にはディエゴ・シヌエ・ロドリゲス州知事が来日し、湯崎・広島県知事に来年はグアナファト州にいらしてほしいと伝えたばかりです。友好提携10周年を1つの節目として、今後広島県とグアナファト州が経済・文化・食を通じ更なる交流が促進することを願っています。今年も11月9日から11日に広島フードフェスティバルが開催されます。昨年同様、日本の食文化を多くのメキシコ人に楽しんでいただけたらと考えています。
コンパクトで立地条件に優れているイラプアト市
イラプアト市の観光名所
MEXITOWN: 続きまして、マツダメキシコ本社のあるサラマンカ市のお隣で、お2人も含めて従業員の皆様が多く住む、イラプアト市の魅力について教えていただけますか?深井EVP、高村EVP、それぞれの視点からお願いします。
深井EVP: イラプアト市は、日本人が多く住むエリアの一つで、治安が気になることもありますが、地元と連携して治安を維持し、住みやすい魅力的な街にしていきたいと思っています。
また、イラプアト市はコンパクトで便利な街で、ショッピングや食事に困ることはありません。また、グアナファト、サンミゲル・デ・アジェンデなどといった観光地やケレタロ、レオン市などどこに行くにも近く、立地面ではとても便利な場所です。
高村EVP:確かにそうですね。週末ふらっとケレタロやサンミゲル・デ・アジェンデに、というのが他の都市に比べると便利かもしれないです。
イラプアト市には約750人の日本人が住んでおり、これはイラプアト市に住む外国籍としては最も多い人数となっています。
治安など様々な面で不安も多いですが、様々な声を聴きイラプアト市と連携して治安維持・住みやすい街・魅力ある街にしていきたい、そんな両者の想いが通じてきていると実感していますね。そしてそこにはグアナファト日本人学校が一役買っていただき、様々なところでの交流が生まれ、日本人学校と地元の学校が交流するなどされています。
イラプアト市の街自体、とてもコンパクト。何不自由なく生活ができている。便利。イラプアト市も治安維持のために、日本人や外国人の方がよくいくエリアを市警察がパトロールをよく行ってくれていますので感謝しています。
深井EVP:そうですね、イラプアトの街がコンパクトという面でいくと、高村さんと私の自宅も車10分の距離で、スープの冷めない距離です(笑)。
高村EVP:困った時にはすぐに駆けつけることができますね。
深井EVP:日本食レストランもお互いがそれほど離れていないので、行きたかったお店が閉まっていても、別のお店にすぐ行くことができます。そうした面でも、日本食が食べられなくて辛いということもないですね。
週末のアクティビティも豊富で、生活しやすい!
MEXITOWN:そんなコンパクトな街イラプアト市に住むお2人の週末の過ごし方を教えてください。
深井EVP:土日のどちらかはイラプアト市内でゴルフですね。あとはショッピングしたり、家の掃除をしたりして、のんびりと過ごしています。
高村EVP:深井さんと同じくゴルフだったり家の掃除だったり、ジムでワークアウトしたりです。
また、イラプアト大学では、日本人とメキシコ人が毎週日曜日にバスケットボールの試合を行っています。他にもテニスや野球など、スポーツを通じて日本人とメキシコ人が交流することが良く見られますので、休日の時間の作り方にバラエティが多いです。
MEXITOWN:バラエティ豊かな週末には欠かせない、イラプアト市内のおススメレストランはどこですか?
高村EVP:おすすめのレストランでは、Plaza Delta にあるLa Parada Cevicheria Wine & Barですね。ここの創作料理が美味しいです。ゆったりと食事を楽しむことが出来るので、日々の疲れを癒すことができます。
深井EVP:まだ私そのお店に行ったことがないので、今度ゴルフ帰りなどにも行きましょう!
クルマへの情熱と地域への貢献
MEXITOWN: 最後に、お2人より下半期の抱負をお聞かせください。
深井EVP: 下半期はクルマを購入したいお客様が多い中で、供給が追いついていない状況です。一台でも多くのクルマを生産し、お客様の笑顔を作り出すことが私たちの目標です。
高村EVP:下半期にはメキシコのビジネスを自立した事業として成長させたいです。日本からの出向者ではなく、メキシコ人が会社を運営し、自分たちで判断・決定を下す体制を築きたいと考えています。また、地域社会への貢献も忘れず、変化を起こす一年として進化していきます。
MEXITOWN:深井EVP、高村EVP、本日はありがとうございました。イラプアト市に対する見方も変わりましたし、下半期のマツダメキシコから目が離せないということを実感することが出来たインタビューでした。