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メキシコと日本、二つのルーツを持つアーティストMiyuki Ishikawaさん。壁画を中心とした作品を通じて、異なる文化の調和と自己表現の自由を追求しています。彼女の歩んできた道、日系コミュニティへの想い、そしてアートを通じた夢についてお話を伺いました。
<目次>
日系人アーティストとして活躍
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写真左から2人目がMiyukiさん
MEXITOWN:まずは、Miyukiさんの自己紹介をお願いします。
Miyukiさん:父は日本人で、母はメキシコ人です。私は25歳で、姉がいます。メキシコでプロダクトデザインを学び、6か月前にグアナファト州・レオン市のイベロアメリカ―ナ大学を卒業しました。
現在はアーティストとして活動していて、フリーランスで壁画や絵を制作しています。すべて自分で管理していて、作品の発信にはSNSが大きな役割を果たしています。よく自分のプロジェクトや作品の進捗をSNSに投稿しています。
MEXITOWN:お父様はどちらのご出身ですか?
Miyukiさん:大阪です。私も大阪には、3回行ったことがあります。最初は6歳の時、次は15歳、そして19歳の時です。本当に好きな場所です。父が通っていた学校も見ることができました。祖父が海外に転職したため、父も12歳のときにメキシコに引っ越しました。父は今68歳なので、約55年前のことですね。父は今でもレオンに住んでいます。
MEXITOWN:いつか日系コミュニティのイベントでお会いできればいいですね。話しは変わりますが、Miyukiさんはなぜアートの道に進もうと思ったのですか?
Miyukiさん:小さい頃から絵を描いたり、絵を描くのが大好きでした。小さい頃から絵を描いたりスケッチするのが大好きでした。小学校の頃はいつもノートにスケッチをしていたので、両親が絵の教室に通うよう勧めてくれました。16歳、高校生の時に、レオンにあるイベロアメリカーナ大学付属の本格的な美術プログラムで学び始めました。時が経つにつれて、美術はキャンバスを超えて空間を変えることができるものだと気付きました。そこで壁画を描き始めたのです。以前は自分の部屋の壁に絵を描いたり、色を変えたり、様々なデザインを加えたりしていました。ある日、友人からオフィスの壁画を描いてほしいと頼まれて、引き受けました。それが壁画を始めるきっかけでした。
それ以来、70枚以上の壁画を描いてきました。2021年の夏に始めてから、ずっと続けています。キャンバス、ブーツ、バッグ、スニーカーなど、さまざまなものにも絵を描いています。私はとてもクリエイティブな性格なので、空の壁や何もない空間を見ると退屈に感じてしまうんです。色が必要だと思うんです。壁画はレストランやカフェのような場所の雰囲気を変え、人々に大きな影響を与えられるところが大好きです。
MEXITOWN:もしかしたら、いつかレオンのカフェでMiyukiさんの作品を見ることができるかもしれませんね。
Miyukiさん:実は今年レオンで展示会を行いました!ずっとギャラリーで自分の作品を展示することを夢見てきました。ギャラリーで大きな作品が展示されているのを見て、いつか自分の展示会を持ちたいと思っていました。2024年の目標の一つとしてギャラリーの開設を掲げていて、そのイメージを描き始めていたところです。実際にオビエド学院で展示会を開いたのですが、とても親身にサポートしてくれました。展示をお願いしたら快く受け入れてくれて、100人以上が来場し、15点ほどの正式な絵画やデッサンを展示しました。
日系人コミュニティは“家”のような存在
MEXITOWN:メキシコには日系人コミュニティがありますが、そうした日系人コミュニティに対する想いをお話しください。
Miyukiさん:とても貴重な存在だと思います。そこはまるで「家」のように感じられる場所です。時には、メキシコ人でもなく日本人でもないような気持ちになることがあり、どちらの場所にも完全には属していないように感じることもあります。そういう意味で、両方の文化を持ちながら一人の人間として受け入れてもらえる場所があることは素晴らしいことです。日本とメキシコの両方の文化を理解している人たちと経験やストーリーを共有できるのは素晴らしいです。時にはメキシコの人々が日本の文化を完全には理解していないこともありますし、その逆もあります。ですから経験や疑問、時には不安について話し合える場所があることはとても重要です。こういった社会や団体があることは大切だと思います。
今では、メキシコに四世にまで及ぶ日系人が多くいて、コミュニティがどんどん若くなっています。
MEXITOWN:そういった若い世代と繋がる機会はありますか?
Miyukiさん:はい、あります。たとえ第一世代からどれほど離れていても、繋がりは残っていると思います。それは遺伝や血の中にあるものです。自分自身を誇りに思い、自分がどこから来たのかを忘れないでほしいです。
MEXITOWN:日本文化のどの部分が一番好きですか?アニメとか、食べ物とか?
Miyukiさん:食の文化が一番好きです!手巻き寿司、お好み焼き、天ぷら、たこ焼き、カツ丼……シーフードが大好きなので、魚が入っているものは何でも素晴らしいですね。
大きな夢を実現できるよう、絵を描き続けたい
MEXITOWN:Miyukiさんの夢は何ですか?
Miyukiさん:私の夢は今の仕事を続けていくこと、そして自分のやり方でそれをやっていくことです。自営業なので自由に取り組むことができ、心のままに生きるように人々にインスピレーションを与え続けたいです。日本文化では「仕事一筋」という考え方が根強いですが、ただ「正解」とされることを追うのではなく、自分の心の声に耳を傾けることが大切だと思います。アートを追求したい、旅したいと思うなら、大きな夢を持ってそれを実現できるという例を示したいです。インスパイアし続け、絵を描き続けていきたいです。
MEXITOWN:将来の展示会について何かアイデアや夢はありますか?
Miyukiさん:日本でアートギャラリーを作りたいですね。最近の展示は自分自身にまつわるものでしたが、いつか日系をテーマにした展示を開き、メキシコや日本を超えてアートを世界に発信したいと思っています。私たちは皆同じ世界の人なので、「これがメキシコと日本の血を引くアーティストの作品なんだ」と思ってもらいたいです。日本でのギャラリーをきっかけに、世界中に広げていきたいです。
日本とメキシコ―両文化の違いを恐れずに楽しんでほしい
MEXITOWN:ありがとうございました。MEXITOWNの読者の皆様へメッセージをお願いします。
Miyukiさん:はい、メキシコに住んでいる日本の方々にお伝えしたいのは、心と頭を開いてほしいということです。 メキシコ文化は感情、温かさ、そして愛で成り立っています。日本人は時に自分に厳しすぎるところがありますが、成功は仕事やお金だけではなく、自分の心に従うことも大切です。心を開くことで、ここで本当に仲間になれると思います。そして、ぜひメキシコ文化にも関わってみてください!メキシコには食文化、音楽、そして「死者の日」のようなフェスティバルなど、非常に豊かな文化があります。メキシコ文化に触れることはとても重要で、違いを恐れる必要はありません。日本とメキシコはお互いに素晴らしく補完し合う関係にあり、共に両方の文化の素晴らしさを楽しめます。
MEXITOWN:私もまさに同じ気持ちです。メキシコには本当に豊かな文化と素晴らしい食べ物がありますよね!ありがとうございました。