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書き下ろし短編小説・メキシコから日本への一時帰国編



こんにちは。前回はメキシコ国内バス旅の様子をお届けしました。今回は、メキシコにいらしたことがある方ならだれでも一度は経験したことのあるメキシコから日本への一時帰国の時の様子を纏めてみました。


メキシコから日本に帰国するルートはいくつかありますが、主に以下の2パターンが多いです。


  • メキシコ地方都市→アメリカ経由(ヒューストン・ダラスなど)→東京成田

  • メキシコ地方都市→メキシコシティ→東京成田


私はメキシコ地方都市のレオン在住で、実家が関東地方にあります。今回は1.で帰国した時のことを書いてみます。また、その時はCOVID19のパンデミックが落ち着いて入国制限が解除されたばかりの頃でしたが、レオンからヒューストン行きの便で同日乗り換えが難しかったので、空港近くに宿泊しましたので、ちょっとだけアメリカの様子もお伝えします。


 


レオン郊外にあるグアナファト国際空港に来た。いつも空港までは自分だけが帰る時は主人に送ってもらったり、知人に送ってもらったりしている。荷物を降ろしてもらい、しばしのお別れ。車の停車時間が厳しいためぎゅっとハグしたりなんて時間もないので、「じゃあね、また着いたら電話するねー」でおしまい。降りてから送迎の車や主人の車を遠くまで見ている時間もなく、そそくさに空港内に移動する。


空港はホリデーシーズンや夏休みでもない限り、結構空いている。さて、私の乗る飛行機のカウンターでチェックイン手続き。私を見るなやすぐに係員の方は英語。ずっとメキシコ人の方ともスペイン語で、最近は英語をそれほど使っていないから何故か新鮮。そしてメキシコの永住カードを見せるとだいたい驚かれる。何故あなたは日本人なのにメキシコに仕事をしているの?って。そんなたわいもない話をしながら、人によってはとっても遅かったりするけれど、何となくこのちょっとした時間が旅行に行く気分を盛り上げてくれる。


そしてグアナファトの空港では、アメリカや海外に行く場合、チェックインの手続きを全て完了する前に移民局のオフィスに行く。同じ空港の敷地内だが、早朝だとオフィスに人がいないときもありたまに焦る。この日はちゃんといて、それほど混んでなくてラッキー。パスポートなどを見せていわゆる出国手続きを済ませたらまたカウンターに戻る。そして搭乗券と預かり荷物のタグを受領するという流れになっている。


預け荷物を手放した後って不思議と身体や足取りが軽くなる。色々なものから解放された気分になるから、免税店や空港内のカフェでお財布の紐が緩くなるのかな。グアナファト空港の場合はセキュリティチェック前の店舗で特に見たい物がないので即セキュリティチェックに行く。グアナファト空港のセキュリティチェックは至って簡単。人も少なく(混雑していたところに遭遇していた方はごめんなさい)、これまで止められたことも一度もないのでそれほどハラハラしない。パソコンやスマホなどの貴重品を出して、全部ちゃんとカバンやスーツケースに戻したことをしっかり確認しないと。大昔、とある空港で時計を取り忘れて泣き寝入りしたこともあるから・・・


セキュリティチェックが終わるとここから1時間半何をしていようかなと思っていても、意外と時間があっという間に過ぎていく。これはとっても不思議。いつもの1時間半は長く感じるのに、空港だとあっという間に過ぎていく。意外とやることが多いのかな。私はとりあえず買わなくても免税品を見たり、カフェのお土産コーナーを見たり、ショップを見たりして歩く。珈琲やスイーツがほしかったらカフェに入って飲む。


あ、お腹が空いたときのことを考えて、お昼便の時はやはり家からおにぎりを握って持っていくようにしている。レオン→ヒューストン便もとても短いフライトなので機内食が出ない。それに空港の飲食は割高。アメリカ入国時には食べ物を持ち込めないので、飛行機の待ち時間、もしくは機内で必ず食べるようにしている。メキシコシティから行った時は夜便になるので、この時はおにぎりに+してちょっとしたおかずを使い捨ての容器に入れてお弁当にしてしまう。これ、空港で売りたいくらい食べやすいかも!(笑)。


到着する飛行機や、遠くの滑走路から出発する飛行機を眺めていると、時間はあっという間。そしてあっという間にゲート前は人が集まり、搭乗開始時刻の10分前以上から並んでいる人がいる。


よし、搭乗時間もうすぐだ!って思っていたらまだ呼ばれない・・・また遅延!?レオン→ヒューストン便は遅れはそれほどないが、こういう時、メキシコ国内で6時間遅延した時のあの待ちぼうけの時を思い出す。あ、良かった、搭乗が始まった。パスポートと搭乗券を取り出して並ばなきゃ。メキシコからアメリカに行く時やレオンからメキシコシティの便で、タラップやボーディングブリッジを歩くときはそれほど緊張はしないので、歩くときの気持ちはこの後で。


 


機内に入って自分の席を確認。機内モードにすぐにしてしまい、自分のお気に入りの曲をかけて、まずはシートポケットの中にあるものを一通り読む。レオン→ヒューストン便だと機内誌は英語。まだメキシコに来る前、アメリカ留学時代などの時はこの機内誌が大好きで、外国の匂いを感じていた。


私は中学生の頃から洋雑誌が大好きで、アメリカに行ったときはあまり読めないのに何冊か料理や旅行、Newsweekなどの雑誌を買ってきていた。今ではインターネットの時代だから読みたい記事はすぐに読むことが出来るけれど、やっぱり手に取ったあの洋雑誌の感じが好きである。今はホームページの仕事をしているからか、洋雑誌の色使いやフォント、そうしたものを見ては、気に入ったレイアウトやデザインは写真にとって残すようにしている。また、機内誌だと就航地のレストランの広告を見ては「いいなあ、どんな用事を作ったらここに行くことが出来るかな」とか、後ろのページにある就航地やハブ空港の地図を見たりするのが大好きである。そして就航地の地図の路線を目で追っていることもある(笑)。


そんな風に機内誌を読んでいると飛行機の扉が閉まり、間もなく機内の安全についてアナウンスが始まる。この時、無言で説明をするCAの方と目が合ったときにどう反応するのか、実はいつも困っている。そうこうしていたら、眠くなってきたな・・・離陸の時は結構な確率で眠ってしまっている。


起きるとCAの方があたたかいおしぼりを持ってきてくれた。ああ、結構寝ていたかも。短距離路線だとこの後スナックとドリンクサービスがある。アメリカ系の航空会社に乗った時に私が頼むドリンクは実はいつもきまっている。それはクランベリージュースである。もちろんメキシコにいる時も好んで飲んでいるけれど、日本に一時帰国するときはほとんど飲まない。クランベリージュースを日本であまり見かけないからである。あの甘酸っぱさを味わいたいのとミニッツメイドの缶のデザインを見たくて、注文する。ふー、これからアメリカに行く感じが一気に出てきた。その後もやはり寝てしまったり、ランダムに聴いている曲を早送りしたりしていると、ヒューストンまではあっという間である。


 

飛行機が着陸して、空港内に入る。空港から流れてくるアナウンスが英語で、通路もものすごく広いのを見ると、ああアメリカに来たんだなという実感が湧く。でも、しばらくして入国審査に入る手前でSALIDAって書いてあると、あ、メキシコから来る人が多いんだなという気持ちとちょっと懐かしい気持ちにもなる。そして入国審査。早朝便だとそんなに人はいないのに、午後に到着するときは長蛇の列!携帯も使えないのでただひたすら並ぶしかない。その間に見ているのは並んでいる方々が持っているパスポート。大きな空港であればあるほど、世界中の色々な国から到着する。その度にどの便で来たのかな、とか、ここまで来るのに何時間くらいかけてきたんだろうということを考えてしまう。



そしてついに自分の番。最近は日本人のアメリカ入国が厳しいといわれているが、トランジット(乗り継ぎ)だと殆ど聞かれることは少ない。それでもいつでもアメリカの入国審査は緊張する。そうしてあっさりと終わった入国審査の後に、今日はヒューストンに1泊するから荷物を受けとる。ホテルまで運ぶの、ちょっと重いけれど仕方ないか。


ヒューストン空港内にはホテルがあり、今回は少し奮発してそのホテルにした。ヒューストン空港はとても大きく、セキュリティチェック後のエリア以外にも地下にターミナル間を走る無料のシャトルがある。このシャトルの乗り場に行くのも一苦労・・・乗るくらいならカートを押した方が楽な時もある。そしてシャトルが来た!何これ!乗ったことがある方はご存じかもしれないが、1970年代のテーマパークにありそうな、非常にレトロで風情のある列車がやってきた!まるでこれからテーマパークに行くのだろうか・・・と思って乗る。ホテルまでは数分で着いてしまう。そして無事チェックインを済ませる。おっと、うっかりSi (スペイン語でYes)が出てしまいそうになるが、ここはアメリカ。結構戻すのにいつも苦労している。


空港内ホテルでの話はある程度割愛。とにかく物価が高い。今回は特別にホテル内のラウンジ付きの宿泊プランにしたが、なんだかんだでコーヒーを飲んだり食事するとラウンジ使用のプランとあまり変わらない・・・?ひとまず束の間のアメリカを過ごそう。


 


翌日、フライトは午前中なので2時間前にはホテルをチェックアウト。その後またあのレトロな電車に乗り、ちょっと迷子になりながらも日本行き飛行機が出発するターミナルへ。日系の航空会社での帰国になるが、カウンターに着いた瞬間、もう日本を感じる。とても丁寧な接客に、丁寧な説明書き。これだけでちょっと安心してしまう。テンポよくチェックインを済ませたらセキュリティへ。アメリカのセキュリティでは靴まで脱がなきゃいけないので、ちょっと大変。そしてここでもドキドキ感がある。なんともないから堂々としていればいいのに。


セキュリティが終わり、またここでも時間が。アメリカの空港は免税店も楽しい。また、自分がアメリカ生活をしていた時にお気に入りだったコーヒーチェーン店がある。当時と比べたら大分値段は上がったけれど、アメリカのコーヒーチェーンで一番好き。そこのコーヒーを買ってのんびりしていると、またあっという間に搭乗時間に。前回も前々回もこの便は東南アジアが最終目的地の方が多い印象である。



搭乗案内が始まり、ボーディングブリッジを歩いていく。歩いている瞬間、窓からは色々な航空会社の飛行機が!そして長時間フライト前のボーディングブリッジはいつもわたるとき、何とも言い表せない高揚感がある。もし空港のベンチに何か置き忘れていてももう戻れないし、ここでやっぱりまだ帰りたくない!といっても戻れないんだなあという気持ち。そう思いながらも機内に入っていく。次、ここを通るときはもう私は日本だ・・・!


機内に入ったばかりの新鮮な空気が好き。ここでもいつもと同じように機内で必要なものを取り出してそれ以外は上の荷物棚へ。座席に座り、モニターの機内プログラムをチェック。実は機内ではモニターを見ていると目が疲れてしまうので、よほど見たいプログラムがない時は本を読むか目を閉じてリラックスするようにしている。


 


そして離陸。この日本に行くときの離陸の瞬間は他のフライトよりもソワソワする。 


この1年~1年半ぶりの日本はどんな感じになっているのかな、1年前に日本に行った頃と比べたら、成長できたかな。メキシコでの1年や1年半の濃さは日本で過ごすのと比べ物にならないくらい濃い、毎日がジェットコースターのような連続ドラマである。それだからこそ、日本に一時帰国することは一種の休憩期間でもあり、また新しい発見をしてそれをメキシコで実現できるかなと考える時間でもある。


両親は、妹は、大好きな甥っ子は大きくなったかな。特に甥っ子はどことなく小さい頃の私にも似ていて、その成長を間近で見ることが出来るのがたまらなく楽しみで仕方ない。毎日日本の家族とはLINEをしてコミュニケーションをとっていても、どんな様子なのかまではわからないし、メキシコで起こっていること全てを話しているわけではないので、きっとたった1年でも色々なことがあることに驚くと思う。そんな風に考えていたらまたいつの間にか寝て、起きて、、、私は眠りが浅いのか、飛行機に乗ると起きたり寝たりの繰り返しということが多い。


今頃母はまだ寝ているけれど、たまに夜中起きては航空機アプリで飛行機の位置を確認して、それをLINEしてくれる(到着した時に沢山届く 笑)。それくらい母にとっては娘の帰国が楽しみなんだといつも思う。最近は機内WiFiを繋ぐと、容量の制限はあるもののiMessageを送ることはできるようだから、今度送って驚かせてみよう!


そして飛行機の中で考えるのは、日本にいる両親は、メキシコの知り合いの方々は今何しているのかなということである。自分が飛行機で移動している間も当たり前だけれど日常生活や社会活動は行われている。降りたときに号外のニュース通知や友達からどんな連絡が来るのだろうかとも考えてしまう。


機内モニターはあまり見ないとは書いたが、唯一飛行機の位置を確認するのが好きで、事あることによく見てしまう。お、今はカナダからアラスカに向かっている。しばらく北米大陸とはお別れ。時間帯によってはアラスカの美しい雪山を見ることもできたときがあった。あの美しさは今でも忘れない。もしかしてシャチが泳いでいるのが見えたりしないかなという、絶対に見えないのに海を見てしまう。


そんな風に機内で過ごし、2回くらい寝たり起きたりを繰り返すと飛行機は日付変更線を超えている。ああ、いよいよだ。地図上のカムチャッカ半島に近付くともう日本はすぐそこだなあとワクワクしてくる。そうこうしているとあっという間に到着前のお食事の時間。この時には必ずコーヒーかお茶などのカフェインを取るようにして、身体を現地モードに整えていく。まあそれでも着いたらぐったりだけれどね。


 


到着寸前に機内から見える成田空港や羽田空港の周り、実家の茨城県の上を通ることもあり「ここで降ろしてー」と何度叫んだことか。そして一気に着陸。着陸の瞬間って何も考えることができないくらい本当にあっという間に感じる。靴をきちんと履いて、忘れ物がないようにしっかりチェックして空港内へ。空港内の空気がすごくきれい。日本の空気って美味しいなあといつも感じる。しっかり清掃されている空港内にいつも日本って素晴らしいと思うのである。


入国審査を機械で済ませて、荷物を受け取り、税関も通過した後に通過する自動扉。この自動扉が開く瞬間ってすごくワクワクで、家族が迎えに来ているときはどこかなって探すワクワク感、待っている人達は一体だれをどんな気持ちで待っているんだろうと考えたりもする。


さて、家族とも無事会えた!まずは帰宅してシャワーを浴びて横になって、軽く何かをつまむことができたらそれでいい。束の間の一時帰国の期間がこれから始まる。



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