今回のインタビューでは、佳 Asia Acupunturaの院長のYoshi先生にメキシコで鍼灸院を開業した経緯を語っていただきました。メキシコでの生活や患者様との交流、そして今後の挑戦についても詳しくお話しされています。
<目次>
メキシコの生活習慣病の実態や薬草の豊富さから気付いたこと
MEXITOWN:メキシコで鍼灸院を始めるきっかけを教えてください。これまでのYoshiさんの経歴も含めてお話しください。
Yoshi先生:専門学校を卒業したのち、福岡の治療院で働いていました。その後、ワーキングホリデーでカナダに渡り、その後メキシコに来ました。
最初にメキシコに来たのは、知人の院のお手伝いをするためで、特にメキシコのことは何も知らないままでした。住んでいく中でメキシコの文化や習慣に興味を持つようになり、メキシコには多くの先住民が住んでいて、豊富な種類の薬草があることを知りました。また、糖尿病や肥満などが社会問題になっていることも知り、日本の鍼灸治療がこれらの問題に役立つのではないかと思い、鍼灸院を開業するに至りました。
MEXITOWN:薬草はメキシコ人の方の生活の中に浸透しているんですね。
Yoshi先生:メキシコでは、若い世代でも自分のおばあちゃんに聞いてハーブティーを飲むことが一般的です。腹痛の時にハーブティーを飲むなど、薬草が身近に感じられる文化があります。西洋医学に頼る日本よりも、メキシコの方が薬草を使うことが多い印象です。
MEXITOWN:メキシコに来た後2019年に一度日本に戻られ、2021年に再度メキシコに来られて現在の鍼灸院を開業されてます。
Yoshi先生:2019年に一度日本に戻り、東京で働いていました。その時にCOVID-19のパンデミックがあり、免疫力をつけたい方がたくさん訪れました。鍼灸治療を通じて、患者さんの免疫力向上をサポートすることが求められ、その経験は今でも非常に貴重です。2021年にメキシコに戻ってからも、その経験を生かして多くの患者さんの治療に役立てています。
内科的、整形外科的な疾患、両方に効果のある鍼灸
MEXITOWN:メキシコ人のお客様、日本人のお客様、それぞれどのような症状で来院されますか?
Yoshi先生:メキシコ人の患者さんは慢性胃炎、慢性腸炎、逆流性食道炎などの胃腸症状、偏頭痛、リウマチ、高血圧、糖尿病など内科的な疾患で来院されることが多いです。一方、日本人の患者さんは肩こりや腰痛、手や足の痺れなど整形外科的な疾患で来院されることが多いです。
メキシコ人の患者さんで内科的な疾患で来られた方が、最近手が痺れるというご相談をしてきたので、そうした症状にも鍼灸は効果ありますよとおススメすることがありました。このようにメキシコ人の方には整形外科的な疾患でも鍼灸は効果があることをもっと広めていきたいです。
MEXITOWN:メキシコでの生活で一番苦労したことと一番嬉しかったことを教えてください。
Yoshi先生:一番苦労したことは、治療の説明をスペイン語で行うことです。こちらが説明できていると思っていても、実際には半分くらいしか伝わっていなかったりすることがあります。最初の頃はホワイトボードを購入し、絵で治療の仕方などを説明していました。絵で説明することは言語能力が不十分でも伝わりやすいので、もし何かの場面で説明に苦労している方は取り入れていただきたい手法ですね。
また、一番嬉しかったことは、患者さんが自分の大切な人を紹介してくれることです。親子三世代で来院していただくこともあり、信頼されていると感じる瞬間です。
これは実際に合ったお話なのですが、とある患者さんのお孫さんが風邪を良く引いているので、鍼灸を受けにいらっしゃいました。すると風邪を引かなくなり、驚かれたことがあります。このように風邪になりにくい身体づくりに鍼灸は非常に向いています。
鍼灸を通じてメキシコ現地でのネットワークを広げる
MEXITOWN:今後挑戦してみたいと思うことはありますか?
Yoshi先生:今後は日本の鍼灸の技術をメキシコの方々に伝えていく活動をしたいと考えています。メキシコには中国スタイルの鍼灸はありますが、日本スタイルはまだ広まっていません。少人数制のセミナーを開催し、各症状に対してどのようなツボを選択するか、東洋医学的な考え方などをわかりやすく伝えていきたいです。メキシコ人の患者さんで医者の方の中にも鍼灸に興味を持ち、学びたいという方もいらっしゃいます。そうした方にも当院の鍼灸の方法を学んでいただいた後に、メキシコシティ以外の都市でも広めていっていただけたらなと思います。
また、薬草などを店舗でただ販売するより、薬草や食事療法などに強いメキシコ人の専門家の方々と繋がり、鍼灸と併せた治療アプローチも出来たらなと思っています。
患者さんに寄り添い、二人三脚で治療していきます!
MEXITOWN:最後に読者の皆様へメッセージをお願いします。
Yoshi先生:当院は「東洋医学専門の鍼灸院」です。日本では鍼灸治療はなかなか選択されづらい治療法ですが、薬を数年飲み続けても改善が見られない方や、他の治療法も試したが効果がない方、手術を避けたい方などが来院されます。鍼灸治療は「治るか、治らないか」で判断されますが、私たちはそのような患者さんに対して治療を行い、結果を出すことを目指しています。患者さん1人で治療するのではなく、我々も一緒になって二人三脚で歩んで治療をしていくようにしています。
おかげさまで2021年に開業した現在の院も、多くの方にご紹介いただき、スタッフ数も増えています。今後もメキシコに住む方々が快適に生活できるよう、スタッフ一同全力で対応してまいります。体質改善をしたい方や、病院に行ってもよくならない方は、ぜひ東洋医学の治療を受けてみてください。
お問い合わせ先
佳 Asia Acupuntura
Av. Benjamin Franklin 91 Int.3 y 7, Col Hipódromo condesa(reception 3), Mexico City, Mexico
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